永住者であっても、日本を離れる期間が1年を超えるのであれば、出国する前に再入国許可(最長5年)を受けておく必要があります。関係するのは、本国の家族の事情や仕事で長く日本を離れる予定の方、お子さんを本国の学校に通わせることを考えているご家族、そして社員やそのご家族が長期で帰国する会社の担当者です。出国の前に、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署で申請してください。手数料は1回限り有効のものが4,000円、数次有効のものが7,000円で、許可は申請した当日に受けられます。
永住者の方からは「永住なのだから、いつ出て、いつ戻ってもよいのでは」というご質問をよくいただきます。しかし永住許可は、日本に住み続けることを前提とした在留資格です。日本を離れたまま期限を過ぎると、その資格は失われます。
1年までなら「みなし再入国許可」で足りる
有効な旅券と在留カードを持っている方が一時的に出国して戻る場合は、出国のときに空港で意思を示すだけで足ります。これを「みなし再入国許可」といいます。入管庁の案内では、再入国出国記録(再入国EDカード)にある「一時的な出国で再入国する予定であることを示すチェック欄」に印を付け、入国審査官に提示するとともに、みなし再入国許可による出国を希望する旨を伝えることとされています。
有効期間は「出国の日から1年間」です(特別永住者の方は2年間)。在留期限が出国の日から1年を経過する前に来るときは、その在留期限までに再入国する必要があります。永住者には在留期間の満了日がないため、実際には出国の日から1年が期限になります。
次の方は、みなし再入国許可の対象になりません。
- 「3月」以下の在留期間を決定された方、「短期滞在」の在留資格の方
- 在留資格取消手続中の方
- 出国確認の留保対象者
- 収容令書の発付を受けている方
- 難民認定申請中で「特定活動」の在留資格をもって在留する方
- 日本国の利益または公安を害するおそれがあることなどから、法務大臣が再入国の許可を要すると認定した方
1年を超えるなら、出国の前に再入国許可を取る
1年を超えて日本を離れる予定があるなら、出国の前に再入国許可を申請します。有効期間は、現に有する在留期間の範囲内で、5年間(特別永住者の方は6年間)を最長として決定されます。永住者には在留期間の満了日がないため、5年までの範囲で決まります。
許可には「1回限り有効のもの」と「数次有効のもの」の2種類があります。期間中に何度も出入りする予定があるなら、数次有効のものを選びます。
| みなし再入国許可 | 再入国許可 | |
|---|---|---|
| 手続き | 出国のとき空港で意思を示す | 出国の前に入管へ申請 |
| 有効期間 | 出国の日から1年(特別永住者は2年) | 最長5年(特別永住者は6年) |
| 手数料 | なし | 1回限り4,000円/数次7,000円 |
| 海外での延長 | できない | 在外公館で相談できる場合がある |
手続きの実際は次のとおりです。
- 申請先:住居地を管轄する地方出入国在留管理官署
- 必要書類:再入国許可申請書、在留カードまたは特別永住者証明書、旅券
- 手数料:1回限り4,000円、数次7,000円(収入印紙で納付)。在留資格変更・在留期間更新・在留資格取得の申請と同時に行う場合はオンライン申請ができ、そのときは1回限り3,500円、数次6,500円
- 標準処理期間:当日
- 申請できる人:ご本人のほか、届出をした行政書士などの取次者、16歳未満の方の親族など
なお、仕事が忙しい、通勤・通学があるといった事情は、「その他の事由により自ら出頭することができない場合」には当たらないとされています。ご本人が行けないときは、取次ができる者に頼む形になります。
期限内に戻らなかったとき、何が起きるか
在留カードは、再入国許可で出国したあと、その有効期間内に再入国しなかったときに失効します。失効した日から14日以内に、出入国在留管理庁長官へ在留カードを返納しなければなりません。特別永住者証明書も同じです。
つまり、期限を過ぎてしまうと、永住者という立場は残りません。日本に住んでいた年数や、納めてきた税金・社会保険の積み上げも、そのままでは引き継げません。もう一度日本で暮らすには、あらためて入国の手続きから始めることになります。1年や5年という期限は、「それまでに戻れば大丈夫」という期限ではなく、「過ぎたら戻れなくなる」期限として見ておいてください。
海外に出てから気が変わったときは
ここがいちばん間違えやすいところです。
みなし再入国許可で出国した場合、その有効期間を海外で延長することはできません。入管庁のQ&Aにも、そのとおり明記されています。「1年で戻るつもりだったが、やはりもう1年いたい」は通りません。
一方、再入国許可を受けて出国した場合は、海外の日本国大使館・総領事館で有効期間の延長を相談できることがあります。在フィリピン日本国大使館の案内では、延長できるのは、特別永住者の場合は許可を受けた日から7年を超えない範囲、その他の在留資格の場合は許可を受けた日から6年を超えない範囲とされています。在留期限を超えて延長することもできません。必要な書類は、旅券、延長申請書(延長を希望する理由の記入が必要)、理由に関する資料、在留カードまたは特別永住者証明書の写しです。
延長が認められるかどうかは、理由次第です。あてにして計画を立てるものではありません。出国の時点で「5年のうちに戻れるか」を考え、迷うなら数次有効の5年を取っておくほうが安全です。
ご家族で長く帰国するときに、見落としやすいこと
ご相談でいちばん多いのが、ご家族の中で在留資格がそろっていないケースです。
- ご両親と上のお子さんは永住者だが、下のお子さんはまだ永住ではない(家族滞在・定住者など)
- 永住の申請を準備している途中である
永住でないお子さんが長く日本を離れると、在留資格を失うおそれがあります。この場合、どのお子さんにどの許可を取っておくかを、家族ごとではなく一人ずつ確かめる必要があります。
また、永住許可の要件には「引き続き」日本に在留していることが含まれます。長期の出国によってこの継続性が途切れたと判断されることがあるため、永住の申請を考えている方は、出国の前にご相談ください。順番を変えるだけで結果が変わることがあります。
会社の担当者が確認しておくこと
社員やそのご家族が長期で帰国する予定を聞いたら、出発までに次の3点を確かめておくと、戻れなくなる事故を防げます。
- 出国している期間が1年を超えるかどうか(超えるなら、出国前に再入国許可が必要)
- 再入国許可を取ったか、その有効期間はいつまでか(写しを会社でも控えておく)
- 同行するご家族それぞれの在留資格と、その期限
在留資格の手続きとは別に、社会保険や住民票、給与の扱いも決める必要があります。こちらは在留の手続きとは別の整理になりますので、あわせてご相談ください。
永住者なら、再入国許可はいらないのではありませんか?
いいえ、必要になる場合があります。出国が1年以内であれば、在留カードと旅券を持って出国時に意思を示すみなし再入国許可で足ります。1年を超えるのであれば、出国の前に再入国許可を受けてください。
在留カードを持っていれば、何年でも日本を離れられますか?
いいえ。在留カードで出国する場合の有効期間は出国の日から1年間です。この期間内に再入国しないと在留カードは失効し、永住者という立場も残りません。
みなし再入国許可の1年を、海外から延ばせますか?
できません。入管庁のQ&Aでも、みなし再入国許可により出国した方は海外で有効期間を延長できないとされています。1年を超える見込みがあるなら、出国の前に再入国許可を取ってください。
再入国許可は何日くらいかかりますか?
標準処理期間は当日です。住居地を管轄する地方出入国在留管理官署で、申請書・在留カード・旅券を出して申請します。手数料は1回限り4,000円、数次7,000円です。
出国したあと、期限内に戻れそうにないときはどうすればよいですか?
再入国許可で出国した方は、お住まいの地域の日本国大使館・総領事館に、有効期間の延長を相談できる場合があります。認められるとは限りませんので、期限が近づく前に早めに相談してください。みなし再入国許可で出国した方は延長できません。
出典
- 出入国在留管理庁「再入国許可(入管法第26条)」
- 出入国在留管理庁「みなし再入国許可(入管法第26条の2)」
- 出入国在留管理庁「再入国許可申請」(必要書類・手数料・標準処理期間)
- 出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」
- 出入国在留管理庁「在留カード・特別永住者証明書の返納について」
- 在フィリピン日本国大使館「再入国許可の有効期間の延長手続」
本記事は2026年10月21日時点の出入国在留管理庁および在外公館の公表資料をもとに、行政書士事務所アンドシードが要約・解説したものです。制度の細部や手数料は変わることがありますので、手続きの際は入管庁の最新の案内をご確認ください。