2027年度(令和9年度)以降に介護福祉士養成施設を卒業する人は、卒業後5年以内に国家試験に合格しないと、介護福祉士の資格を続けられなくなります。 養成施設で学ぶ留学生と、その卒業生を在留資格「介護」で雇う(または雇う予定の)介護施設に直接関係する変更です。 該当する人は在学中から受験の準備を始め、施設は「5年以内の合格」を前提に、合格支援と在留資格の計画を今のうちに立ててください。
何が変わったのか
2026年6月25日に「社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第51号)が公布されました。厚生労働省の通知によると、法律全体の施行は原則2027年4月1日ですが、介護福祉士に関する部分は公布の日から施行されています。
介護福祉士養成施設を卒業した人には、もともと「国家試験に合格していなくても、卒業後5年間は介護福祉士となる資格を有する」という経過措置がありました。さらに、その5年間に介護の仕事を続けていれば、6年目以降も資格を持ち続けられる仕組みでした。
今回の改正で、この経過措置が次のように分かれました。
| 卒業した年度 | 卒業後5年間 | 6年目以降 |
|---|---|---|
| 2017年度〜2026年度(平成29年度〜令和8年度) | 資格あり | 5年間介護の仕事を続ければ、引き続き資格あり |
| 2027年度〜2031年度(令和9年度〜令和13年度) | 資格あり | 国家試験の合格が必要 |
| 2032年度以降 | 経過措置の対象外 | 国家試験の合格が必要 |
つまり「卒業後5年間は資格あり」という部分は2031年度の卒業生まで延長された一方、「働き続ければ合格しなくても資格を維持できる」という部分は2026年度の卒業生で終わります。
期限はいつか(具体例)
5年の数え方は「卒業した日の属する年度の翌年度の4月1日から5年」です。
たとえば2026年4月に2年制の養成施設に入学し、2028年3月に卒業する人は「2027年度卒業」にあたります。この人は2028年4月1日から5年後、つまり2033年3月31日までに国家試験に合格しておく必要があります。報道では「早ければ2033年度に資格を失う人が出る」と伝えられており、この計算と一致します。
介護福祉士国家試験は年1回です。5年といっても受験の機会は限られるため、卒業してから準備を始めるのでは遅くなりがちです。
在留資格「介護」への影響
在留資格「介護」は、介護福祉士の資格を持つ人が、日本の機関との契約に基づいて介護の仕事をするための在留資格です(出入国在留管理庁)。在留期間は5年・3年・1年・3月のいずれかで、要件を満たしていれば更新を重ねて長く日本で働くことができます。
この在留資格は「介護福祉士であること」が前提です。2027年度以降の卒業生が5年以内に合格できず資格を失った場合、「介護」のままでは働き続けられなくなる道筋になります。
ただし、資格を失ったらすぐに帰国、というわけではありません。報道でも触れられているとおり、特定技能1号(介護分野)など別の在留資格へ変えるという選択肢があります。一方で、特定技能1号には通算の在留期間に上限があり、在留資格ごとの要件も満たす必要があります。どの在留資格に移れるかは一人ひとりの状況で変わるため、期限の直前ではなく、早めに確認しておくことが大切です。
なお、経過措置で登録した人が5年の期限を迎えるときの具体的な手続き(いつまでに何を申請するか)については、現時点で厚生労働省・出入国在留管理庁から詳しい案内は確認できていません。今後の公表を確認してください。
報道で伝えられている現状
日本経済新聞(2026年10月26日)によると、養成施設の入学生の半数以上を外国人が占める一方、留学生の国家試験の合格率は日本人を大きく下回っているとされます。また、厚生労働省は外国人向けの試験対策アプリの開発を予算要求に盛り込んだと報じられています。
改正の影響を最も強く受けるのは、合格までに時間がかかりやすい留学生だと考えられます。
介護施設(雇う側)が今からできること
- 雇用している、または採用予定の養成施設卒業生について、卒業年度と「合格の期限」を一覧にする
- 毎年の受験を前提に、日本語と試験対策の学習時間を勤務の中で確保する
- 在留期限と資格の期限を並べて管理する(在留期間の満了より先に資格の期限が来ることもあり得ます)
- 万一合格できなかったときに取りうる在留資格を、期限の1〜2年前には確認しておく
外国人ご本人へ
- まず自分の卒業年度を確かめてください。2026年度までの卒業なら、これまでどおり5年間介護の仕事を続ければ資格を持ち続けられます
- 2027年度以降の卒業なら、卒業後5年以内の合格が前提です。卒業した年から毎年受験するつもりで準備してください
- 在留資格について不安がある場合は、期限が近づく前に専門家や地方出入国在留管理官署に相談してください
在留資格「介護」の更新・変更、特定技能への変更などのご相談は、行政書士事務所アンドシード(contact@andceed.com/052-990-3442)までお問い合わせください。
出典:厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1518(社会福祉法等の一部を改正する法律の公布について)」、厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律案の概要」、出入国在留管理庁「在留資格『介護』」、日本経済新聞(2026年10月26日)
2026年度(令和8年度)までに卒業した人も、5年以内に合格しなければいけませんか?
いいえ、これまでどおりの扱いです。卒業後5年間、介護の仕事を続けていれば、合格していなくても引き続き介護福祉士の資格を持ち続けられます。
5年以内に合格できなかったら、すぐに帰国しなければなりませんか?
いいえ、すぐに帰国と決まるわけではありません。特定技能1号(介護)など別の在留資格への変更を検討できますが、要件や通算の在留期間の上限があるため、早めに確認することをおすすめします。
2032年度以降に卒業する人はどうなりますか?
経過措置の対象外になり、国家試験に合格しなければ介護福祉士になれません。在学中に合格を目指すことが前提になります。
経過措置の期間中に、在留資格「介護」で働くことはできますか?
はい、卒業後5年間は介護福祉士となる資格を持つ扱いなので、登録を受ければ在留資格「介護」の対象になります。ただし出入国在留管理庁の現在の案内は2026年度卒業者までを前提に書かれているため、2027年度以降の卒業者は今後の案内を確認してください。
介護施設はいつから準備すればいいですか?
今からです。2027年度に卒業する人はすでに養成施設に在学しているため、在学中からの受験準備と、卒業後の受験計画・在留資格の計画を早めに立てておくことが大切です。